[3]首都圏エルピーガス販売事業者連絡協議会からのお知らせ

民事訴訟ー差止請求訴訟の提起について

 「公正な取引を推進する会」が、支援する差別対価差止請求訴訟が、平成14年6月11日に、東京地方裁判所に、提訴されました。
 原告団より、訴訟提起についての説明文が出されましたので、ご紹介いたします。
 なお、原告団への参加ご希望の方は、随時受け付けることになっておりますので、「公正な取引を推進する会」、または、神谷町青山法律事務所 弁護士青山揚一先生宛にお問い合わせください。


                          平成14年6月11日

                      差別対価差止請求訴訟原告団

日本瓦斯葛yび潟U・トーカイの「差別対価」に対する
  独占禁止法第24条(差止請求権)に基づく差止請求訴訟の提起について

1.提訴
 本日午後、日本瓦斯梶iニチガス)及び潟U・トーカイ(トータルエネルギー梶jを被告として、差別対価によるプロパンガス販売の差止請求訴訟を東京地方裁判所に提訴しました。
 原告は、神奈川県全域、東京都下、千葉県のエルピーガス販売事業者59社です。これまで、独占禁止法違反行為に対する差止は、公正取引委員会のみが行使できる制度でした。
 平成12年5月成立(平成13年4月1日施行)の独占禁止法改正により、独占禁止法違反行為の被害者が直接裁判所に違反行為の差止を求めて訴訟を提起することができるようになりました。
 今回提起した差止訴訟は、差別対価を理由とする差止請求訴訟としては全国でも初めての訴訟になると思います。
2.本件訴訟の目的
 私たち原告は、殆どが中小零細のプロパンガス販売事業者です。
 被告はいずれも上場企業であり、プロパンガス販売事業部門でも顧客数数十万戸を有する有力な事業者です。
 被告両社とも、既存の数十万戸の顧客に対しては、旧来の価格を維持し、かつ更に値上げまでしています。
 しかし、その一方で、新規顧客獲得のために特別の価格を設定し、自己の既存の顧客への販売価格より10m3当たり1500円〜2000円、場合によっては3000円近くも安い価格を提示し、競争事業者を排除しています。
 10m3当たりの比較次のようになります。
  ニチガス 自社の既存の顧客 5700円台
    切替用価格 2990円から4100円台
  トーカイ 自社の既存の顧客 6000円台
    切替用価格 4300円
 私たち原告は、私たちの既得権を守るために訴訟を提起したものではありません。公正で自由な競争は、社会的にも消費者の利益のためにも大切です。
 競争を通じて自らも鍛えていかなければならないと考えています。
 しかし、競争は公正に行われなければなりません。
 競争事業者を排除するためだけに、そして競争相手の顧客を奪う目的のためだけに拡販用の特別な廉価を設定することは許されません。
 価格を下げるのであれば、自己の既存の顧客を含め、正々堂々と一斉に下げるべきです。
 そうであれば、私たちはこのような訴訟は起こしません。
 公正な競争として、受け止めます。
 被告両社とも顧客数1万戸以下のプロパンガス販売事業者をターゲットにし、これを市場から排除しようとしています。そして、被告両社間ではお互いに顧客を取り合わないよう行動しています。
 これを放置すれば、やがて寡占化への道につながります。
 被告両社とも、既存の顧客の価格を下げようとしていない事実を見れば、その道が決して消費者の利益にならないことは明白だと考えます。
 私たちは公正な競争を求めて今回の提訴に踏み切ったものです。
3.差別対価について
 被告両社の行なっている拡販行為は、独占禁止法違反の差別対価に当たるものと考えています。
 独占禁止法第19条は不公正な取引方法の禁止を定めています。
 「不公正な取引方法」については、独禁法第2条第9項で定義され、公正取引委員会が指定することになっています。
 公正取引委員会は告示15で「不公正な取引方法」を指定しています。
 その第3項が「差別対価」です。
 「不当に、地域又は相手方により差別的な対価をもって商品もしくは役務を供給し、またはこれの供給を受けること」と指定しています。
 有力な事業者が競争者を排除するため、当該競争者と競合する販売地域又は顧客に限って廉売を行なう場合は、これに該当することになります。
 なお、公正取引委員会の告示「不公正な取引方法」の第6項は「不当廉売」を定めています。
 不当廉売は「正当な理由がないのに商品又は役務をその供給に要する費用を著しく下回る対価で継続して供給し、その他不当に商品又は役務を低い対価で供給し、他の事業者の事業活動を困難にさせる恐れがあること」を指します。
 差別対価とは別の不公正な取引方法になります。
4.差別対価に関する裁判について
 今までに、差別対価に関係する裁判例としては、東京高等裁判所昭和32年の決定があります。
 これは、石川県を主たる販売地域とする「北国新聞」は月極め定価330円で販売していたが、新たに富山県を主たる販売地域とする「富山新聞」を合併した際、その月極め定価を280円として大々的に宣伝したことに関する事件です。
 東京高等裁判所は両紙は実質的に同一であり、その価格は差別対価に当たるとして緊急停止命令を出したものです。
 その決定では次のとおり述べています。
 「継続購読を建前とする一般日刊新聞において、しかも相当程度に購読が普及していると認められる本件の地方において、一度読者を失えばこれが回復には容易ならざるものがあり、勢いのおもむくところ他の競争紙はこれに対する相応の対抗策を講ぜざるを得ざるに至り、かくては新聞業界における正常な競争秩序は破壊される恐れがあるものと言うべきである。従って本件においては、右審決があるまで一時これを停止させる緊急の必要があるものと言うべきである。」
 これは「新聞業界における特定の不公正な取引方法」(特殊指定)の「地域的定価差別」に関する件ですが、「差別対価」の趣旨としては同様に考えられます。
                                   以上


原告団代理人
弁護士  青 山 揚 一
電話 03(3438)2772 FAX 03(3437)6374


○毎日新聞の報道

【1】プロパンガス:
大手の特別料金撤廃求め、中小販売業者が提訴 

2002.06.11

 家庭用プロパンガスの販売で、新規顧客用に特別に安い料金を設定しているのは独占禁止法に違反するとして、関東地方の中小販売業者59社が11日、大手の「日本瓦斯」(東京都中央区)、「トーカイ」(静岡市)と関連会社を相手取り、特別料金の撤廃を求め、東京地裁に提訴した。
 訴えによると、3社は通常、一般家庭の月平均使用量に当たる10立方メートルのプロパンガスを、5700〜6000円台で販売している。しかし別会社から利用を切り替える顧客に限り、2990〜4300円の特別料金で販売した。原告側は「中小業者を排除するための不当な料金設定で、独禁法が禁止する『差別対価』に該当する」と主張している。

 独禁法違反行為の被害者が民事訴訟で救済を求めるのは、昨年4月施行の法改正で認められた制度。これまでは、公正取引委員会に申し立て、排除勧告などの措置を待つしかなかった。原告らは3度にわたり公取委に申し立てたが、5月に「差別対価には当たらない」と退けられたため、提訴に踏み切った。

[毎日新聞6月11日]


○時事通信の報道

家庭用ガスで「不公正販売」=中小59社が日本瓦斯など提訴−東京地裁

 家庭用プロパンガスの販売で、業界大手の日本瓦斯(東京都中央区)など3社が新規顧客獲得のため特別に安い価格を設定しているのは独禁法違反(不公正取引)だとして、神奈川県などの中小業者59社が11日、3社を相手に特別価格での販売差し止めを求める訴訟を東京地裁に起こした。
 訴えられたのは日本瓦斯のほか、ザ・トーカイ(静岡市)とトータルエネルギー(東京都昭島市)。 (時事通信)
[6月11日19時2分更新]